3.未来は決まっているのか?

3.4 

A君、B君にとって同時に起きた現象を、C君から見ることで、時間差を生じさせることに成功しました。
実際の電車でも確かに起きている現象ですが、光の速度に比べると時速300kmを誇るの500系のぞみだって止まっているようなもので、時間差といってもほとんどありません。ですから、我々はこの現象を認識できないのです。
それに、何億分の1秒かわかりませんが、この程度先の未来がわかったところで、全く利用価値はないでしょう。
しかし、電車の速度をどんどん上げていって、光に近い速度になったらどうでしょうか?
タキオン・テレスコープで観察しているC君が見ると、ストロボ発光器から出た光は、B君にはすぐに達しますが、A君になかなか追いつきません。
電車の速度によっては、B君が手を上げてから1時間経ってから、やっとA君が手を上げることもあるでしょう。もっと電車の速度を光速に近づければ、B君とA君の手を上げる時間差は1日だって、1年だってある得る訳だ。
このくらい時間差があれば利用価値はありそうである。

仮に1日の時間差ができるくらいの電車の速度だったとしましょう。
電車の車輌の中央には、ストロボ発光器ではなく世界貿易センタービルがそびえ立っています。そのビルに旅客機が突っ込みました。
そう、2001年9月11日、米国同時多発テロ事件の発生です。
C君はその様子を例のタキオン・テレスコープで眺めています。
B君はいち早く米国同時多発テロ事件が起きたことを知りました。しかし、A君はのんびりとした日を過ごしています。それもそのはず、A君が同時多発テロが起きたことを知るのは、1日後なのだ。
ならば、B君がA君に米国同時多発テロ事件が起きたことを教えてあげればよいではないか。いやダメダメ、電車の中では、B君とA君は、同じ時間を共有しているので、A君は、米国同時多発テロ事件が起きたことをB君と同時に知るのである。



そこで、C君に活躍してもらうことにする。
B君は米国同時多発テロ事件が発生したことをC君に知らせる。そして、C君はA君にそのことを知らせる。
そうすれば、A君は米国同時多発テロ事件の発生を1日前に知ることができるのである。
つまり、B君の情報はC君を経由してA君に送られるのである。




これなら、うまくいきそうだ。
だが、問題もある。光に近い速度まで出せる電車が必要なことだ。

しかし、いい方法があった!


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