3.未来は決まっているのか?

3.2 

相対性理論には、慣性系だけに限定した特殊相対性理論と加速度系も含めた一般相対性理論とがあるが、ここでは、シンプルな特殊相対性理論に限定して話を進めることにする。
相対性理論というと、なんかすごく難しい理論と思うかも知れないが、特殊相対性理論の現象だけを考えるなら簡単だ。
理解するためには、数学の知識なんかより、頭の中でどれだけイメージできるかの勝負である。

相対性理論の柱になっているのは、
「光の速度は誰が計測しても同じ」
ということだけだ。

これだけ聞くと「フゥーーン そうなんだ」としか思わないかもしれないが、これは一般常識からかけ離れている光の性質なのだ。
下の図を見ていただきたい。


右端の投手がボールを150km/hの速度で左に向かって投げたとしよう。
そのとき地上に固定してあるスピードガンAは、ボールの速度は150km/hと計測するが、投手から左に100km/hの速度で遠ざかる車に取り付けたスピードガンBは、ボールの速度は50km/hと計測する。
ここまでは、誰もが納得してくれると思うが、今度はボールを光に置き換えてみよう。
仮に光の速度を150km/hとするとスピードガンAは、光の速度を150km/hと計測する。(実際には、光をスピードガンで計測することはできないが、ここでは計測できるものとする)
問題は、100km/hで遠ざかる車に取り付けたスピードガンBの計測結果だが、50km/hとはならず150km/hと計測されるのである。
誰が計測しても、光速は一定なのである。
そんなバカな。
と思うかも知れないが、これは、光速を実際に計測した実験結果であり、事実であるからしかたがない。
実際の光の速度は、時速150km/hではなく、秒速30万kmと、とてつもなく速い。1秒で地球を7週半もしてしまう速度である。
「そんなに速いのだから、移動しながら正確に光の速度を測定できないのだ」と反論する人もいることでしょう。
しかし、「光は速い」と言っておきながら、実はあまり速くないのだ。
皆さんの多くは、この文章をパソコンで見ているかと思いますが、そのパソコンのCPUクロック周波数は、いくつでしょうか?
最近のデスクトップパソコンなら2〜3GHzあたりでしょうか。
例えば、3GHzのCPUクロックということは、CPU内の素子が1秒間に30億回、ハイ、ローのスイッチング動作を繰り返しているのだが、この素子の1周期、つまりハイから次のハイにまるまでの時間に光はどのくらい進めると思いますか?
答えは、たったの10cmなのです。
ものすごく速いと思える光の速度も大した事ないことがお分かりでしょうか。
現代の技術をもってすれば、光の速度を非常に高精度に測定することが可能なのです。
なのに、なのにですよ、光の速度は、止まって測定しても、走りながら測定しても全く同じ速度なのです。
これは、もう事実として認めるっきゃないでしょう。
どうしても認められない人は、残念ですがここでリタイア!
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