3.未来は決まっているのか?

3.1 
 最近、幼い子供が犠牲になる事故や事件が多い。
子供だけではなく、自分だっていつ交通事故に会うかわからない。まあ交通事故なら、気を付けていればある程度は防げるかも知れないが、
公共交通機関の事故に巻き込まれることだってありうる。
日航ジャンボ機墜落事故や福知山線の脱線事故など公共交通機関の事故などは、自分でいくら気をつけても防ぎようがない。
人は、そんな事故、事件が起きてから暫く経った後、「あの時にあの電車に乗っていなければ、とかあの時もう少し家をでるのが遅ければ、あんな事故に巻き込まれなかったのに」などと思ったりする。

本当に「あの時、・・・・・さえしなければ・・・」避けられたのであろうか?
それとも避けられない運命というものがあるのであろうか?
未来が見えたら、事前に危険を回避できるかも知れない。
そんな素朴な疑問について考えてみた。

一般的には、
時間は、過去から現在、現在から未来に流れていて、過去に起きてしまったことは、もう取り返しがつかない。(過去には戻れない)
また、未来は流動的で、現在の行動が未来に影響を与えて、未来を変えていく。
という考えの人が多いと思います。
「あの時、・・・・・さえしなければ・・・」というのは、この一般的な考え方に基づいていると思われます。

しかし、(占いを除く)運命論者の中には、「未来は決まっている」と考えている人もいるかと思います。
恐らくそれは、次のような考え方に基づいているのではないでしょうか。
世の中のものは、すべて物理学の法則に従っている。気まぐれな動きをする動物だって脳の細胞1つ1つの動きを把握できれば、計算し、予測可能だ。
例えば、野球のボールを投げた時点で、そのボールの落下地点は計算できる。
もし、ボールを投げた直後に予期せぬ突風が吹いてボールの落下点が計算からずれることだってあるが、これは突風というイレギュラーな要素が計算に含まれていなかったからで、もし、世の中のすべての情報を入力できるスーパーコンピュータがあれば、未来に起きるすべての出来事は予測できる。即ち未来は決まっているという考え方ではないでしょうか。

しかし、残念だが、この考え方には無理があるようである。
量子力学に不確定性原理と呼ばれる理論がある。これは、ミクロの粒子の存在位置を正確に表すことはできないというもので、ミクロの粒子は1つの粒子であっても煙のような存在で、常に不確からしさを持ち合わせていて、どんなに精密な計算をしてもミクロ粒子の位置は正確に特定できないのである。先ほど話に出てきた野球のボールはミクロ粒子ではないが、ミクロ粒子の集まりである。不確定原理がある以上、ボールの落下点には計算ではどうしようもない誤差を含んでいる。時間が経過すればするほどこの誤差がどんどん増幅されていく、ボールの1バウンド目の落下点より2バウンド目の落下点の誤差が大きくなるように未来ににいけばいくほど実際に起きうる現象の裾野が広がってしまい、とても、2***年の**月**日、**航空会社の**便が事故を起こすなんていうことまで計算することは不可能なのである。ここで言っている不可能とは技術的に不可能という意味ではなく理論的に不可能という意味である。

どうも量子力学的には、未来は決まっているという結果は出てこないようだ。
そこで、相対論理論的アプローチを試みてみることにする。
まずは、相対性理論の勉強から。

つづく