1.概要
SRT10のローテーションサーボ用バージョンで、スマートフォン(スマホ)で2つのローテーションサーボを制御する回路です。通信にはBluetoothを使っています。
ローテーションサーボとは、回転速度、回転方向を制御でき、永遠に回転し続けることができるサーボ(本当はサーボとは言えない)で、ギヤード・モーターの代わりにつかえるので便利なアイテムです。
動作テストでは、GWS V0008Aというローテーションサーボを使ってみました。
操作は、スマホ画面タッチすることで低速前進、高速前進、超信地右旋回、超信地左旋回、低速バックだけの単純操作としましたので、小学校低学年の子供でも操作できるかと思います。
左右モーターパワーのアンバランスを補正するスライドバーを設けました。
サーボの電源は、DCDCコンバータから5V電源が供給されます。バッテリーがNi-MH 4本ならDCDCコンバータ部は省略しても良いでしょう。
また、おまけ機能としてLED等の軽負荷ドライブができるSW出力を1チャンネル設けています。
使えるスマホは、Android OS専用でiPhoneには対応していません。また、Bluetooth V2.1 に対応している必要があります。
(自分のスマホ(galaxy s8)で動作を確認しています。)
完成品は、コネクタ付きです。
2.機能
●2つのローテーションサーボ制御
●前進速度2段
●超信地旋回モード
●低速バック
●バッテリー過放電防止のための電圧検出
●SW出力
3.仕様
●電源電圧 5 〜12V(NiーMH4〜8セル 、 リポ2〜3セル)
●サーボ用出力 5V 、 6A_max(2つのサーボの合計電流)
●SW出力 100mA_max
●バッテリー電圧低下検出レベル 4.0V、5.0V、6.2V、9.3V選択可能
●消費電流 20mA〜50mA(無負荷時)
●外形 46*21*10(縦*横*高さ)
●重量 8.6g (コネクタ含む)
●通信距離 約30m
●対応スマホ : Android OSで Bluetooth V2.1に対応していること。
4.回路図
5.部品表
番号 |
部品名 |
品番(仕様) |
メーカー |
備考 |
MD1 |
Bluetooth無線モジュール |
RN-42 |
Microchip Technology |
デフォルトのままで、特別な設定は必要ありません。 |
MD2 |
DC-DCコンバータ モジュール |
OKL-T/6-W12 |
ムラタ |
|
IC1 |
三端子レギュレータ |
S-812C33 |
ABLIC |
|
IC2 |
マイコン |
ATmega88A-AU |
Microchip Technology |
|
Q1 |
抵抗内臓トランジスタ |
RN1105 |
東芝 |
|
Q2〜Q3 |
抵抗内臓トランジスタ |
RN1102 |
東芝 |
|
C1 |
アルミ電解コンデンサ |
47uF/16V |
|
|
C2,C6〜C7 |
セラミック・コンデンサ |
0.1uF/50V |
|
|
C3 |
セラミック・コンデンサ |
2.2uF/16V |
|
|
C4 |
タンタル・コンデンサ |
47uF/10V |
|
|
C5 |
セラミック・コンデンサ |
10uF/10V |
|
|
C8 |
セラミック・コンデンサ |
47uF/10V |
|
|
R1 |
チップ抵抗 |
10kΩ |
|
|
R2 |
チップ抵抗 |
3.3kΩ |
|
|
R4〜R5 |
チップ抵抗 |
2.2kΩ |
|
|
R6 |
チップ抵抗 |
1.33kΩ |
|
|
XT1 |
セラミック発振子 |
CSTCR7M37G53A-R0 |
ムラタ |
|
6.マイコンプログラム
自作する場合は、マイコンにプログラムを書き込む必要があります。
下記ファイルをダウンロードしてマイコンへの書き込みを行って下さい。
(右クリックで ”対象をファイルに保存” を選択)
srt200.hex
プログラム書き込み時の設定
・FUSE 0xFF 0xDE 0x77
・LOCK 0xFF
7.スマホアプリのインストール
本回路は、スマホから操作しますので、スマホにアプリをインストールする必要があります。
下記ファイルをパソコンにダウンロードし、解凍してSRT20.APKというファイルにしてから、DropBox等を使ってスマホにファイルを取り込むのが簡単かもしれません。
srt20.zip
スマホに取り込まれた”SRT20.APK”というファイルをタップすると、「このアプリケーションをインストールしますか?」みたいなメッセージが出てきますので、
(信頼していただければですが)インストールを実行します。
最後に「インストール完了」のメッセージが表示されれば、インストール成功です。
以下のアプリが、スマホ画面のどこかにできているはずです。
(本当はSRT20なのですが、アイコンの表示がSRT10となってしまいました。SRT10のソフトを修正して制作したのが原因と思われます。ご勘弁!!)
8.配線図
配線は、下図を参照してください。
9.使い方
9.1 DIP SWの設定
DIP SW1、2は、バッテリー電圧低下検出の電圧設定用です。
下表を参照に設定してください。
1 |
2 |
下限電圧設定値 |
OFF |
OFF |
4.0V (Ni-Mh 4セル) |
ON |
OFF |
5.0V (Ni-Mh 5セル) |
OFF |
ON |
6.2V (Li-Po 2セル) |
ON |
ON |
9.3V (Li-Po 3セル) |
DIP SW3、4は、サーボの回転方向設定用です。(通常は右サーボの回転方向を反転させることになるかと思います。)
下表を参照に設定してください。
3 |
4 |
左サーボ回転方向 |
右サーボ回転方向 |
OFF |
OFF |
ノーマル |
ノーマル |
ON |
OFF |
リバース |
ノーマル |
OFF |
ON |
ノーマル |
リバース |
ON |
ON |
リバース |
リバース |
9.2 本システムは、スマホのBluetoothを利用しますので、事前にペアリングを行っておく必要があります。
ペアリングするときにMAC IDと呼ばれる固有のコードが表示されますので、そのコードを覚えておきます。(下2桁くらいで十分)
(MAC IDは、回路基板に実装されているBluetoothモジュールに記載されています)
9.3 通信開始
@スマホのアプリ(SRT20)を開く。(アプリのアイコン表示は”SRT10"となっています。)
A回路(SRT20)の電源をONする。
Bアプリの”BT List”をタップする。
Cペアリング済みのBluetoothリストが表示されますので、回路基板に実装されているBluetoothモジュールのMAC IDを選択します。
Dスマホの”connect”をタップする。
E暫く待つとスマホと回路の間にBluetooth通信が確立します。通信が確立するとスマホに操作用の画面が現れます。
F終了するときは”dis connect”をタップしてください。
9.4 操作
操作は、高速前進、低速前進、低速バック、右旋回、左旋回の5アクションです。(同時に2ヶ所以上のボタン押しは無効です。)
ボタンを押ししている間は、モーターが回転し、指を離すとモーターは停止します。
中央の”S”は、モーター停止ですが、指を離すとモーターは停止しますので、通常は使う必要はありません。
左右のモーターの速度バランスが悪くてまっすぐに走行しない場合は、スライドバーで直進補正することができます。(直進補正は、前進のみでバックでの直進補正は行っていません。)
また、LED等の軽負荷をドライブできるSW出力があります。
10.その他使用上の注意
・Bluetoothがうまく繋がらない場合は、”dis connect”をタップしてから接続を試してみてください。
・SW出力を使ってLEDを点灯させたい場合は、LEDと直列に470Ω〜1kΩ程度の抵抗を挿入してください。
・バッテリー電圧の低下を検知するとモーターは停止しますが、再度ボタンを押すとモーターは再起動します。
11.動画
https://youtu.be/pLznNkGcnnM