UC20

昇圧コンバータ




1.はじめに
皆さんは、RC受信機用のバッテリーに何をお使いでしょうか?ニッカドやニッケル水素バッテリーを使っている方が多いのではないでしょうか。
リチウム・ポリマー・バッテリーは、小型、軽量、大容量と3拍子そろったバッテリーで、電動RCの動力用として使われることが多くなってきました。このバッテリーを受信機専用に使う場合、1セルでは電圧がちょっと足りません。やむなく2セル直列にすると、今度は電圧が高すぎます。そこで、2セル直列にして電圧を上げた後、3端子レギュレータなどを使って電圧を5V程度に落としてから受信機用の電源に使うことになります。なんか無駄なことをしているような気がしますね。
今回は、リチウム・ポリマー・バッテリー1セルから5Vの安定化した電源を作り出す昇圧コンバータを紹介します。
以前試作した昇圧コンバータuc10も同様のものですが、スイッチングノイズが大きく、送信機からの距離が離れると受信機がノイズで誤動作する問題がありました。今回は、スイッチングノイズを抑えることを最優先に再設計し直しました。おかげで基板サイズはちょっと大きめです。


2.機能
 ●昇圧コンバータ


3.仕様
 ●入力電圧 2.5〜4.2V
 ●出力電圧 5.0V
 ●出力電流 2A
 ●変換効率 80%以上 (出力電流2A、入力電圧3.3V時)
 ●消費電流 0.5mA(@入力 3.7V時)
 ●外形 40*30*4.5(縦*横*高さ)
 ●重量5.5g


4.回路図



5.部品表
部品番号 品番 メーカー 備考
IC1 MAX1709ESE MAXIM .
D1 RB51L-40 ローム .
R1 100kΩ . .
R2 2.2Ω . .
C1〜C4 セラミックコンデンサ 100uF 6.3V . .
C5 セラミックコンデンサ 0.1uF 25V . .
C6 セラミックコンデンサ 0.22uF 25V . .
C7 セラミックコンデンサ 0.1uF 25V . .
L1 RLF7030T-1R0 TDK 1uH
L2 ACM4520−142 TDK コモンモード・チョークコイル
NF1 NFM3DP223R1H3 ムラタ ノイズフィルタ


6.回路の説明
MAX1709を使った昇圧コンバータです。
昇圧コンバータは、スイッチング電源の一種ですので、リニアレギュレータと比較して大きなノイズを出します。そこでいくつかのノイズ対策を行ってみました。
まず、基板ですが、裏面を全面ベタグランドにしました。


次に入力と出力のコンデンサに低ESRタイプのものを選択します。導電性高分子アルミ電解コンデンサを使う予定でしたが、試しにセラミックコンデンサを使ったところノイズは著しく小さくなりました。100uFの大容量セラミックコンデンサはまだ一般的ではないので、300〜400円と高価です。日本では、太陽誘電やムラタが製造しています。
これでノイズ対策は十分だと思いますが、念のため出力段に、コモンモード・チョークコイルを追加しています。
そしてさらにダメ押しでムラタのEMIフィルタを挿入しましたが、こちらは効果がよく分かりませんでした。


7.配線図



8.使用上の注意
昇圧コンバータは、低い入力電圧から高い出力電圧作り出しますので、入力は出力よりも大きな電流を流さなくてはなりません。入力電圧を2倍に昇圧したなら入力電流は出力電流の2倍流れます。実際には、コンバータの変換効率も考慮しなければならず、入力にはさらに大きな電流が流れます。UC20を使う場合、余裕を見れば2倍くらいの電流消費があると考えておいた方が無難でしょう。よって、バッテリーは、ある程度大電流を流せるものが必要です。
また、普通のバッテリーを使用する場合には、バッテリー電圧が低下するに従ってサーボの動作速度も遅くなるので、感覚的にバッテリーの残量を把握できますが、昇圧コンバータ回路の場合は、バッテリー電圧が低下してもお構いなしに5Vを出力し続けようとしますので、サーボの動作速度からバッテリー残量を把握することは出来ません。バッテリー容量は、十分ゆとりのあるものを使ってください。
ノイズに対しては、出来る限りの対策をしたつもりですが、スイッチング電源である以上、ノイズは発生しています。ノイズに弱い受信機を使用する場合は、ノイズによる誤動作にご注意ください。