ST10/ST11 サーボ テスターの製作


1.はじめに
サーボ テスターという名前は、適当かどうかわかりませんが、ラジコン用サーボの信号発生器です。つまり、これがあれば、送信機、受信機が無くてもサーボを動作させることができます。
「そんなもの必要ないよ。」なんていう声も聞こえてきそうですが、手元に1台あるととても便利で重宝します。リンケージの時など、サーボのストロークの余裕がどのくらいあるかなどがすぐにわかります。
もしかしたら、貴方のサーボは、ストロークぎりぎりで使われているかもしれませんよ。
私は、簡単なアナログ式のサーボテスター(ST10)を自作して使っていましたが、今回、高精度なデジタル式のもの(ST11)も、試作しましたので、あわせて紹介します。
2.サーボへの信号
図1のように、サーボに与える信号は、約1.0〜2.0msec幅の正パルスです。このパルスが、約20msec間隔でくりかえされます。(15msec位のものもある)
パルス幅は、送信機のスティックを動かすことで、1.0〜2.0msecの間で変化し、サーボはこのパルス幅に追従して動作します。スティックを中央にした時がサーボのニュートラルで、その時のパルス幅は約1.5msecです。
パルスの間隔は、通常20msec程度で、送信機のスティックを動かしてもほとんど変化しません。多少変化したとしてもサーボの動きには、ほとんど関係しません。
図1


3.アナログ式サーボテスター(ST10)
3.1 回路図

3.2 回路の説明
回路は、TC74HCU04APを使った発振器とTC4538BPによるワンショット・マルチバイブレータから構成されています。
まず、発振器ですが、この回路定数で約20msec周期の発振が得られます。6個のインバータのうち3個だけ使っています。残り3個は使いませんが、使っていなくても入力ピンはICのGNDかVccに接続しておきます。ここでは、結線のしやすさから、回路図のような入力ピン処理をしました。入力ピンの電位が確定するのでこれでも良いのです。注意点として、IC1のメーカーはどこでも構いませんが、必ず”HCU04”にします。”HC04”では発振が安定しない可能性があります。
次にワンショット・マルチバイブレータですが、先ほどのTC74HCU04APの発振出力の立ち上がりをトリガーとして、1発だけパルスを発生します。1発といっても20msec間隔にトリガーがかかりますから、20msec毎にパルスが発生することになります。ここで発生するパルス幅は、ボリュームVR1によって変化させることができます。回路図の定数では、約0.5〜2.5msecまで可変できます。このワンショット・マルチバイブレータICは2個入りですが、使用するのは1個だけで、残りの1個は使いません。ここでも入力ピン処理は忘れてはいけません。TC4538BPの代りにTC74HC4538APも使用できますが、この場合は、コンデンサC2は0.015uFにして下さい。動作としては、TC4538BPの方が安定しているようです。
電源は、単3乾電池4本を直列接続して使いましたが、ニッカド4本でも問題ありません。
3.3 部品表
IC1 : TC74HCU04AP (40)
IC2 : TC4538BP (60)
D1 : 1N4002 (20)
R1 : 100kΩ (10)
R2 : 47kΩ (10)
R3 : 100kΩ (10)
C1 : 0.1uF 50V フィルム コンデンサ (40)
C2 : 0.01uF 50V フィルム コンデンサ (40)
C3 : 100uF 10V 電解コンデンサ
0.01uF 50V フィルム コンデンサ (30)
C4〜5 : 0.1uF 25V 積層セラミック コンデンサ (20)
VR1 : 200kΩ ボリューム (200)
SW : スイッチ 1A以上 (150)

その他必要なもの
基板、ケース、取り付け用ネジ、配線 etc

()内は、参考価格
3.4 完成 (内部は恥ずかしくて見せられません。回路図には書いていませんが、余計なボリューム等が付加されています。)


4.デジタル式サーボ テスター(ST11)
4.1 回路図

4.2 回路の説明
アナログ式のサーボテスターは回路が簡単なので製作も容易なのですが、パルス幅調節用のボリュームの位置だけでは、実際に出力されている正確なパルス幅はわかりません。オシロスコープをお持ちなら、実際のパルス幅を観測しながらボリュームに目盛りをつければよいのですが、オシロスコープなんか持っている人は少ないのではないでしょうか。
そこで、デジタル式のサーボテスターを紹介しましょう。
表示はデジタル3桁表示で、目盛りをつける必要もありませんし、水晶発振が基準ですから、精度はバツグンです。
制御は、PIC16F84マイコンが、スイッチ入力処理、表示、パルス発生まですべてこなしています。
表示には、アノードコモン7セグメントLEDを使います。3桁表示ですから、7セグメントLEDを3個使っても良いですし、3桁が一体のなったものでも構いません。LEDの色は好みで何でも結構ですが、必ずアノードコモン タイプを使います。
パルス幅可変用スイッチは、エンコード パルス スイッチで、右回りと左回りで位相の異なる信号を発生します。今回使用したのは、24ステップ/回転のものです。
マイコンのクロック発振器には、水晶発振子をつかいましたが、最後の桁の制度がプラスマイナス1のずれを許すなら、セラミック発振子でも構いません。(実用上は、問題ないと思います。)
使い方は、簡単で、ロータリー式のエンコード パルス スイッチを右に回すとパルス幅が長くなって、左に回すとパルス幅は短くなります。パルス幅の可変範囲は、0.50〜3.00msecです。電源投入時は、1.50msecになります。
電源は、乾電池4本を直列にして使用しましたが、電圧が低くて心配ですが、ニッカドでもまず問題はありません。
4.3 プログラム
自作する方は、マイコンにプログラムを書き込む必要があります。
圧縮形式ですので、下記ファイルをダウンロードした後、解凍してHEXファイルにしてからマイコンへの書き込みを行って下さい。

ST11.lzh

※コンフィグレーション ビットをマニュアルで設定する場合には下記のように設定して下さい。
oscillator : XT
watchdog timer : on
power up timer : on
code protect : off
4.4 部品表
IC1 : PIC16F84ー04/P (600)
LED1〜3 : アノードコモン 7セグメントLED (150*3)
Q1 : RN1202 (20)
Q2〜4 : 2SJ196 (60*3)
D1 : 1N4002 (20)
D2 : 1S2076A (15)
R1〜8 : 150Ω 1/4W (10*8)
R9 : 2.2kΩ 1/4W (10)
R10 : 470Ω 1/4W (10)
R11 : 47kΩ 1/4W (10)
R12〜13 : 10kΩ 1/4W (10)
C1 : 100uF 10V アルミ電解コンデンサ (50)
C2 : 0.1uF 25V 積層セラミックコンデンサ (20)
C3 : 10uF 10V アルミ電解コンデンサ (30)
C4〜5 : 47pF セラミックコンデンサ (20)
XT1 : 4MHz 水晶発振子 (200)
SW1 : スライド・スイッチ (100)
SW2: アルプス電気製 STEC16B 24パルス クリック付き (620)

その他必要なもの
基板、ケース、取り付け用ネジ、配線 etc

()内は、参考価格
4.4 完成 (表示部が4桁ありますが、点灯するのは3桁のみ)