1.概要
リチウム・ポリマー バッテリー(以下Li-Poと呼ぶ)に適応した高周波モータ
スピード コントローラ(以下スピコンと呼ぶ)です。 勿論、Ni−Cd、NiーMHバッテリーでも使用可能です。
モータは400クラス又はそれ以下のクラスのブラシモータに最適です。
オートカット電圧の設定は、6V又は9Vに選択可能です。
モータのブレーキは、ブレーキ有り無しどちらも設定可能です。
簡単に電源ON/OFFが出来るようにスイッチ端子が設けてあります。
ブザーを接続すると機体発見用ブザー機能を付加できます。
オート・パワー・コントロール(以下APCと呼ぶ)を装備しています。これは、バッテリーに対する電流負荷が大きすぎる場合、自動的に出力を制限してオートカットされるのを防止する機能です。 この機能は、出力100〜50%の範囲で無断階に行われ、50%まで出力を制限してもバッテリーの電圧がオートカット設定電圧を割り込んだ場合には、オートカットが働きモータは停止します。 当然ですが、送信機のエンコン・スティックがハーフスロットル以下ではAPCは機能しないことになります。 また、APCは初期設定で無効にすることも出来ます。
2.機能
●PWM方式 高周波 モータ スピード コントロール
●APC機能設定可
●Ni−Cd、NiーMH、リチウム・ポリマー(Li-Po)バッテリーに対応
●バッテリー電圧検知
●ブレーキ設定可
●BEC付き
●バッテリー電圧検出によるオートカット機能
●機体発見ブザー装着可
3.仕様
●Ni−Cd/NiーMH:
8〜10セル、Li-Po:2〜3セル
●負荷電流 15A (連続)
●BEC 5.0V /電流 2A
●回路消費電流 15mA
●スイッチング周波数 約4.4kHz
●ステップ分解能 約70ステップ
●オート カット電圧6.0V 又は9.0V
●オン抵抗 2.5mΩ (バッテリー電圧10V時における出力段FETデータ)
●外形 25*23*7.5(縦*横*高さ)
●重量 3.0g(コネクタ含まず)
4.回路図
4.部品表
部品番号 |
品番 |
メーカー |
備考 |
IC1 |
uPC24A05HF |
NEC |
放熱フィンの先端をカット |
IC2 |
ATtiny15L-1SC |
Microchip Technology |
. |
Q1 |
RN1102 |
東芝 |
. |
Q2 |
RN1102 |
東芝 |
. |
Q3 |
RN1102 |
東芝 |
. |
Q4 |
RN1102 |
東芝 |
. |
Q5 |
RN1105 |
東芝 |
. |
Q6 |
2SK1582 |
NEC |
. |
Q7 |
2SJ204 |
NEC |
. |
Q8 |
HAT1072H |
ルネサス・テクノロジ |
. |
Q9 |
HAT2164H |
ルネサス・テクノロジ |
. |
Q10 |
HAT2164H |
ルネサス・テクノロジ |
未実装 |
ZD1 |
DAM1MA18 |
ルネサス・テクノロジ |
. |
R1 |
チップ抵抗 1kΩ 1/10W |
. |
. |
R2 |
チップ抵抗 47Ω 1/10W |
. |
. |
R3 |
チップ抵抗 10kΩ 1/10W |
. |
1%品 |
R4 |
チップ抵抗 3.3kΩ 1/10W |
. |
1%品 |
R5 |
チップ抵抗 2.2kΩ 1/10W |
. |
. |
R6 |
チップ抵抗 1kΩ 1/10W |
. |
. |
R7 |
チップ抵抗 100Ω 1/10W |
. |
. |
R8 |
チップ抵抗 10kΩ 1/10W |
. |
. |
R9 |
チップ抵抗 4.9kΩ 1/10W |
. |
. |
R10 |
チップ抵抗 10Ω 1/10W |
. |
. |
R11 |
チップ抵抗 10Ω 1/10W |
. |
未実装 |
C1 |
チップコンデンサ 0.68uF 16V |
. |
. |
C2 |
チップコンデンサ 0.68uF 16V |
. |
. |
C3 |
47uF 10V チップタンタル |
. |
. |
C4 |
47uF 10V チップタンタル |
. |
. |
C5 |
チップコンデンサ 0.1uF 25V |
. |
. |
C6 |
チップコンデンサ 0.1uF 25V |
. |
. |
C7 |
チップコンデンサ 0.1uF 25V |
. |
. |
C8 |
チップコンデンサ 0.01uF 25V |
. |
. |
JP1 |
ジャンパー |
. |
ハンダ・ブリッジ・ジャンパー |
5.回路の説明
メイン制御にはATMEL社のATtiny15Lというマイコンを使いました。PWMを内臓しているので、高い周波数でのスイッチング動作が可能になりました。
回路図上の太いラインには動力モータの大きな電流が流れますから、自作する場合はなるべく太いパターンにして下さい。
出力部ですが、回路図ではQ9とQ10を並列接続していますが、15A程度ならFET1つで十分なので、Q10はパターンのみとして部品は実装していません。
回路図でも示していますが、ブザーを接続すると機体発見ブザーの機能を持たせることが出来ます。ブザーには動作電圧5Vの自励式ブザーを使用してください。(スター精密製 TMB−05等)
抵抗R3、R4はオートカット電圧を検出する部分ですので、抵抗精度1%品を使います
6.マイコン プログラムのダウンロード
自作する方は、マイコンにプログラムを書き込む必要があります。
圧縮形式ですので、下記ファイルをダウンロードした後、解凍してHEXファイルにしてからマイコンへの書き込みを行って下さい。
書き込みを行う際に、プログラムメモリの最終番地(0x1FF)のローバイトにOSCキャリブレーションデータを書き込んで下さい。
ma14v10.zip
設定
・FUSE bit (10101100B)
BODEN:0
BODLEVEL:1
CKSEL0:0
CKSEL1:0
RSTDISBL:0
SPEN:1
・LOCK bit (11111111B)
LB1:1
LB2:1
7.接続図
本回路では、スイッチを取り付けられるようになっていますが、スイッチを使わずバッテリーコネクタの抜き差しでスイッチの代用をさせる場合は、ハンダ・ブリッジ用パッドをハンダでブリッジ(ショート)させます。
また、基板は、モータ端子に直付けできるようにしています。
8.1使い方(初期設定方法)
本回路は、実際にスピコンとして動作させるために、初期設定する必要があります。この設定は、1度行えば、データは不揮発性メモリに記憶されるためバッテリーを外しても消えることはありません。したがって、通常使用において毎回設定する必要はありません。また、この初期設定は、何度でも変更可能です。
初期設定は、設定モードへの移行、最スローポジションの設定、フルハイポジションの設定、ブレーキの有無の設定、オートカット電圧の設定、APCの有無の設定、確認のための最スローの順に行います。
設定途中のモータ確認音は、機体発見ブザー取り付け時には、ブザーも同時に鳴ります。
オートカット電圧の設定は、Li-Poの場合、6.0V(2セル用)、又は9.0V(3セル用)です。
Ni−Cd/Ni−MHバッテリーの場合は、6.0Vに設定するのが標準設定です。
@コンピュータ・プロポでエンコンにエクスポネンシャルを設定してある場合には、初期設定時にはノーマルにします。
Aエンコンのトリムは中央にしておきます。
Bノーマルモード、リバースモードどちらでも設定可能ですが、フタバ製プロポはリバースモードに、それ以外のプロポはノーマルモードに設定し
ておくことをお勧めします。
C送信機のスイッチを入れ、エンコン・スティックを中央(最スローとフルハイ
のちょうど中間)にする。
D スピコンのスイッチを入れて10秒待つ。
E モータからピッと小さな確認音が聞こえたら、
すぐにエンコン・スティックを最スロー(一番下に下げる)にして5秒待つ。
F モータからピッと小さな確認音が聞こえたら、
すぐにエンコン・スティックをフルハイ(一番上に上げる)にして5秒待つ。
Gモータからピッと小さな確認音が聞こえたら、すぐにブレーキありの場合は、エンコン・スティックを最スローに、ブレーキ無しの場合は、
エンコン・スティックをフルハイにして5秒待つ。
Hモータからピッと小さな確認音が聞こえたら、すぐにオートカット電圧を6.0Vにする場合には、エンコン・スティックを最スローに。オートカット電圧を9.0Vにする場合には、エンコン・スティックをフルハイにして5秒待つ。
I モータからピッと小さな確認音が聞こえたら、すぐにAPC機能ありの場合は、エンコン・スティックを最スローに、APC機能無しの場合は、
エンコン・スティックをフルハイにして5秒待つ。
Jモータからピッと小さな確認音が聞こえたら、
すぐにエンコン・スティックを最スローにして5秒待つ。
K5秒後にモータからピーー(長め)と小さな確認音が聞こえる。
L以上で設定終了です。スピコンの電源を切って下さい。
注意事項
設定途中で、モータから確認音がしなかった場合は、設定失敗です。最初からやり直して下さい。 設定をやり直す場合は、スピコン内のマイコンを確実にリセットするために、スイッチオフ時間を3秒以上とって下さい。
スイッチを切るなどして初期設定を途中で中断した場合には、途中までの設定も無効となり、前回の設定値のままで設定変更はなされません。
Cのエンコン・スティック中央の位置は、プロポによっては、多少ずれていることがあります。初期設定モードに移行しない場合は、エンコン・スティックを中央から1〜3コマ上下にずらして試して下さい。
また、途中までしか設定できない場合は、エンコンのストロークが小さすぎることが考えられます。その場合は、エンコン・トリムを最スロー側にずらして見てください。
8.2使い方
初期設定が完了していれば、スイッチをONするだけで、スピコンとして動作します。
電源投入直後に、モータがピッ、ピッ、(ピッ)と2〜3回小さな音を発します。(ブザー付きの場合はブザーも鳴る) この音の回数は、Li-Poのセル数に対応しています。つまり、音の回数が2回の時は、オートカット電圧が6.0V、3回の時は、オートカット電圧が9.0Vになっていることを意味します。
安全のため、一旦エンコン・スティックを最スローにしないとモータはオンしないようになっていますが、必ずエンコン・スティックを最スローにしてからスピコンのスイッチを入れて下さい。(ブザーを取り付けた場合、エンコン・スティックを最スローにせずにスピコンのスイッチを入れると警告音を発します。)
バッテリー電圧がオートカット設定電圧以下になった時にモータは停止しますが、一旦エンコン・スティックを最スローにするとモータ再起動可能な状態になります。
本回路にブザーを接続することで、機体発見ブザーの機能を持たせることが出来ます。
ブザーを鳴らす方法は、エンコン・スティックを最スロー状態にして、トリムを使って更に絞り込みます。
送信機のスイッチを切って信号が無くなった場合にもブザーが鳴りますが、周囲のノイズでモータが回り出すことがありますから、この機能はあくまでも補助的なものとお考え下さい。また、ブザーを取り付けた場合には、オートカット時にもブザーが鳴りますが、一旦エンコン・スティックを最スローにするとブザー音は止みます。
PCM方式のプロポで機体発見ブザー機能を使う場合は、フェールセーフモードにして、無信号時にエンコンを下げて更にトリムを絞った状態になるように設定しておいて下さい。
9.その他使用上の注意
モータは、設定中も含めて急に回り出す危険がありますので、くれぐれもプロペラに手や顔を近づけないで下さい。
必ず空気取り入れ口を設けて風を送り、回路の温度が上がらないようにして下さい。特にバッテリー電圧が高い時は、BEC用ICが高温になりますので注意して下さい。
本回路はスイッチを切ることでスピコン回路、受信機、サーボ含めて電流は全く流れませんが、安全のため使用しない時はバッテリーを取り外しておいて下さい。
10.追記
最近のLi-Poメーカーは、1セルあたりの最低電圧を3.0V以下にならないように規定しているところが多くなっているようです。
MA14は、Li-Po対応が前提となっていますので、バッテリーメーカーの仕様に合わせてオートカット電圧を3.0V/セルに変更しました。