LP20
リポ過放電防止回路

 



1.概要
リチウム・ポリマー・バッテリー(以下リポと呼ぶ)は、小型軽量、大容量ということで、RC以外にもいろいろと使えそうです。しかし、このバッテリー、注意しなければならないのは、過充電、過放電にとても弱いことです。充電は専用の充電器を使うことで問題はないのですが、放電に関しては、リポ専用に設計されていない機器に使う場合、常に過放電の心配がつきまといます。そこで、リポと使いたい機器の間に挿入するだけで、リポの電圧低下を検知して自動的に電源をオフする保護装置を設計してみました。一旦オフするとリポバッテリーを再接続するまでオフのままです。
対応するリポは2〜3セル用ですが、ちょっとした改造で4セルにも対応可能です。
品番は、対応セル数に応じてLP20_2、LP20_3、LP20_4とします。


2.機能
 ●リポ過放電防止


3.仕様
 ●対応セル数 2〜3セル 4セル(ツェナーダイオード追加改造)
 ●検知電圧 3.0/セル
 ●電源電圧 6.0〜15.0V (リポ直列2〜3セル)
 ●負荷電流 10Amax
 ●消費電流 8μA
 ●外形 35*27*3(縦*横*高さ)
 ●重量 2.0g


4.回路図



5.部品表
. 品名 品番 仕様 メーカー 備考
IC1 3端子レギュレータ S-812C50 . SII .
IC2 コンパレータ S-89530 . SII .
IC3 NANDゲート TC7WZ00FU . 東芝 .
Q1 FET HAT2164H . ルネサス・テクノロジ .
D1 ショットキー・ダイオード RB51L-40 . ローム .
D2 ダイオード 1SS352 . 東芝 .
D3 ツェナー・ダイオード RD5.1FM . NEC 4セル対応で必要
(2〜3セルの場合は不要)
C1 チップセラミックコンデンサ . 0.47uF 25V . .
C2 チップセラミックコンデンサ . 10uF 10V . .
C3 チップセラミックコンデンサ . 0.1uF 25V . .
C4 チップセラミックコンデンサ . 0.68uF 25V . .
C5 チップセラミックコンデンサ . 0.1uF 25V . .
C6 チップセラミックコンデンサ . 0.1uF 25V . .
C7 チップセラミックコンデンサ . 0.1uF 25V . .
R1 チップ抵抗 . 2セル用 :1MΩ
3セル用 :2.2MΩ
4セル用 :3.3MΩ
. セル数に応じて変更
R2 チップ抵抗 . 2セル用 :390kΩ
3セル用 :390kΩ
4セル用 :510kΩ
. セル数に応じて変更
R3 チップ抵抗 . 1MΩ . .
R4 チップ抵抗 . 1MΩ . .
R5 チップ抵抗 . 1MΩ . .
R6 チップ抵抗 . 1MΩ . .
R7 チップ抵抗 . 10kΩ . .
R8 チップ抵抗 . 100Ω . 4セル対応で必要
(2〜3セルの場合は不要)


6.回路説明
リポの電源を3端子レギュレータ(IC1)で5V定電圧化して、制御回路の電源としています。
IC2はコンパレータでリポの電源電圧を抵抗分割した電圧値と電源電圧の1/2の電圧(つまり2.5V)と比較し、リポの電圧が低下するとLowを出力します。R1〜R5までの抵抗値を変えることで、検出電圧を変更することが出来ます。
IC3は、NANDゲートで構成したRCフリップフロップで、コンパレータからLow信号があるとそれを記憶し保持します。R6、C6、D2、R7で構成されている部分は電源投入時にRSフリップフロップをリセットするオートパワーオンリセット回路です。
RSフリップフロップの出力でオン/オフスイッチであるNチャンネルMOSFETを駆動しています。
D1は、絶対に必要という訳ではありませんが、モータなどの誘導負荷が接続される場合を想定して、MOSFET保護のためにいれてあります。
この回路がリポ3セルまでとなっているのは、電源の3端子レギュレータの耐圧の関係なので、4セルに対応したい場合は、抵抗R8とツェナーダイオードD3を挿入します。ツェナー電圧は、5V程度が適当です。


7.接続図



8.使い方
接続図に示したように本回路をリポと負荷装置の間に接続します。
リポを接続することで回路にリセットがかり、負荷装置と通電状態になります。


9.注意事項
・リポを接続後、一旦外して再接続する場合は、パワーオンリセットを確実に行うために10秒以上待ってから再接続してください。
・本回路の消費電流は、時計並みに小さいため、長時間リポに接続しっぱなしでもあまり問題はありませんが、それでもの約8μA電流は流れ続けていますので、小容量のリポは長時間接続していると過放電になる恐れがありますのでご注意ください。
・リポを充電するときは、本回路をリポから外して下さい。(回路を付けたまま充電しないで下さい。)
・リポの電圧低下を検知すると負荷装置はリポバッテリーと切り離されますが、このとき切り離されるのはマイナス側(グランド側)のみでプラス側は接続されたままになっています。