LC11

リポ充電器

設計変更
 ・1セル当たりの充電時間の上限を2時間から3時間に変更しました。(ソフト変更のみ)




1.概要
 直列3セルのリポ(リチウム ポリマー バッテリー)専用充電器です。
一般の充電器は直列セルを同時に充電しますが、この充電器はバランス端子を利用して、1セルづつ充電していきます。
すべてのセルの充電に要する時間は4〜5時間もかかってしまいますが、各セルのバランスをとるバランス回路は不要です。


2.機能
 ●リポ3セル専用充電器


3.仕様
 ●3セル直列リポ専用
 ●最大充電電流 0.8A
 ●充電完了電圧 4.2V/セル
 ●外形 70*50*19 (縦*横*高さ)
 ●重量 50g


4.回路図


4.部品表
部品番号 品番 メーカー 備考
IC1 ATtiny15L ATMEL .
IC2 LTC4054-4.2 リニア・テクノロジー .
LED1〜LED3 黄色 . .
LED4 . .
D1〜D4 1S2076A ルネサス・テクノロジ .
Q1〜Q3 RN1205 東芝 .
R1〜R4 330Ω . .
R5 1.25kΩ . リポの容量により定数変更の必要あり
R6 1kΩ . .
C1 電解コンデンサ 100uF 10V . .
C2 積層セラミックコンデンサ 0.1uF 25V . .
C3〜C4 積層セラミックコンデンサ 1μF/25V . .
LY1〜LY3 G6B-2214P-US DC5V OMRON .
CN1 2.1mmDCジャック . .
CN2 S4B-XH-A 日本圧着端子 バッテリーメーカーによりコネクタは異なるので注意


5.回路の説明
 直列3セル専用のリチウム・ポリマー・バッテリー(リポ)充電器です。マイコンのポートがまだ1つ余っていますので、4セルまでは増設できますが、私自身が3セルまでしか持っていないので3セル専用としました。このままでも1セル、2セルにも対応しますが、存在しないセルを2時間充電(実際にはセルが存在しないので充電はしない)した後、異常と判断して充電終了します。(実害はありませんけど)
 バランス回路接続用端子を利用して充電を行いますので、バッテリーからバランス端子が出ているリポが対象です。バランス端子コネクタは、バッテリーメーカーによって異なりますので、注意してください。部品表のコネクタは、enLipo用のものです。
充電動作そのものは、LTC4054-4.2という充電専用ICが行っています。抵抗R5の値を変えれば、充電電流を変えることが出来ますが、最大充電電流は0.8Aです。充電電流は、1000/R5で計算できます。今回は1.25kΩですから、1000/1250=0.8(A)で、ICの定格いっぱいの電流に設定していることになります。
1.25kΩという抵抗値は入手が難しいかも知れませんので、少し充電電流は少なくなりますが1.3kΩでも良いでしょう。
いろいろな容量のリポに対応させるなら、写真のようにソケットを使って抵抗R5を差し替えられるようにすると便利かと思います。ソケットは、ICソケットから2ピンだけ切り取って使いました。

リポは通常1C充電ですから、容量800mAH以下用のリポ充電器となります。しかし、多少なら容量が800mAHを超えても充電時間が少し長くなるだけで問題はないようです。
 充電IC LTC4054-4.2は、大きな電流を流すと発熱します。今回のように最大定格で使うと発熱も大きくなりますので、写真のようにアルミの板をICの背中に接着するとよろしいかと思います。接着には、サンハヤトの「固まる放熱用シリコーン」がベストです。

 今回は、直列3セルのリポ専用ですので、最初のセルの充電が完了したら次のセルを充電というように1セルづつの充電を3回繰り返します。
充電するセルの切り替えには、リレーを使いました。写真のリレーはG2Vという手持ちのリレーを使っていますが、製造中止になったようで、今ならG6B-2214P-US DC5Vが使えます。
1つのセルが充電を完了するとIC2のCHRG端子がオープンになりますので、この信号を検出してリレーを切り替えるようにしました。切り替え時は余裕を見て、約1秒のタイムラグを設けています。現在どのセルを充電しているのかは、LED1〜LED3の点灯状態でわかります。回路図では、セル1(LED1が点灯)から充電が始まり、最後にセル3(LED3が点灯)を充電します。充電中はLED4も点灯し、すべてのセルの充電が完了するとLED4は消灯します。 1つのセルの充電時間が約3時間以上かかった場合は、異常とみなしLED4は点滅に状態になって、充電は中止します。
 この回路の電源は、安定化された直流5V、電流容量は1A以上のものが必要です。普通の5VのACアダプタは、定格5Vとなっていても負荷が軽いときは平気で7〜8V位の電圧が出てICを破壊する恐れがあるので使えません。スイッチング式のものは、出力電圧が安定している大丈夫です。秋月電子通商で販売しているスイッチングACアダプタ「GP05-US0510」は5V、1Aで、今回の用途には最適です。



6.マイコン プログラムのダウンロード
自作する方は、マイコンにプログラムを書き込む必要があります。
圧縮形式ですので、下記ファイルをダウンロードした後、解凍してHEXファイルにしてからマイコンへの書き込みを行って下さい。

lc111.zip

設定
・FUSE bit (10101100B)
BODEN:0
BODLEVEL:1
CKSEL0:0
CKSEL1:0
RSTDISBL:0
SPEN:1

・LOCK bit (11111111B)
LB1:1
LB2:1


7.使い方
リポのバランス端子をコネクタに接続してから、電源を投入します。
後は、自動的に1セルづつ充電していきます。
3セルすべて充電が完了するとLED4が消灯します。
もし、1セルの充電に2時間以上かかった場合は、その時点で充電を停止し、LED4が点滅状態になります。