4.宝くじ

今年も年末ジャンボ宝くじの時期がやってきた。 宝くじ当選番号が決まるあの会場の熱気とは裏腹にその様子を冷やかな目で見つめる1人の人物がいる。それは、誰か?
私だよ!

以前から思っていたのだが、あの当選番号を決める装置。あれは、やめたほうがほうがいいんじゃないかな。
装置をちょっと細工するだけで簡単に手持ちの番号を、当選番号にできてしまう。
そんな細工はしてないとは思うけど、 まあ、マジックショーのネタには使えそうなので、自分が考えたその装置の仕組みを説明することにする。
その前に、現在使われている装置を見てみよう。
まず、数字の書かれた円盤が回転している。 少し離れたとろに、矢の発射装置が設置されていて、その装置の脇に立っている女性が、矢の発射装置のスイッチを押して、放たれた矢が、回転する数字の円盤に刺さるというものだ。 矢の発射装置は、スイッチを押すことで、ソレノイド(プランジャー)に電流が流れ、 それが、引き金を引いて、バネの力で矢が発射される。恐らくこんな機構ではないだろうか。




次に、自分が考えた装置の説明をする。
まず、数字の回転板は一定の速度で回転しているとする。
ここでは、わかりやすくするために、数字の回転板は毎秒10回転とする。つまり、一回転するのに100msec、数字は0〜9まで10個あるので、数字と次の数字までの時間は10msecになる。
また、矢が発射されてから、数字の的に刺さるまでの時間を30msecとする。
数字の”0”に当てたければ、数字”7”が来た時に矢を発射すれば、30msec後に的に当たるので、数字”0”に命中することになる。




しかし、数字板は高速で回転しているので、”0”を当てたい時に、ちょうど”7”が来た時にスイッチを押すということは、とても普通の人間にはできそうにない。
そこで、矢の発射スイッチとソレノイドの間に、ある制御回路を追加することにする。



制御回路といっても、大層な装置ではなく、PICマイコン1個で十分に実現できる程度のものである。
制御回路の中身は、数字回転板から送られてくるパルス信号検出部と遅延処理部である。
数字板側にも、少し仕掛けが必要で、数字板が回転して、数字”7”が矢のターゲットに来たときにパルス信号を出すようにしておく。
これは、ホールICとか、フォトインタラプタなどを使えば、簡単に出来る。
数字板が1回転するごとにパルス信号が1つ出てくるわけだ。
もうおわかりになったと思うが、制御回路は、このパルス信号を常に監視していて、矢の発射スイッチが押されたら、パルス信号を検知して、それからソレノイドに通電する。
パルス信号を検知してすぐに矢を発射すれば、”0”に命中するし、パルス信号を検知してから50msec待ってから矢を発射すれば、数字”5”に命中するわけだ。



ここまできて、少々疑問を持つ人がいるかも知れない。
それは、矢の発射スイッチを押してから少し遅れて矢が発射されるので、すぐにバレるのではということである。
しかし、スイッチを押してから、0.1〜0.2秒程度の遅れなんて、余程注意していないと気がつくものではない。まして、スイッチを押した本人も気がつかないようなことを見ている人間が気づく筈も無いので心配無用である。
また、この装置は、数字板から矢の発射装置にパルス信号を伝える必要がある。普通に考えると電線で接続するのだが、電線で接続されていると仕掛けがバレる可能性が高くなるので、電波とか赤外線を使い無線でパルス信号を伝えれば良い。

今回説明した装置の仕掛けは、ほんの一例で、まだまだやり方はいくらでもある。
数字板の回転数が決まっていなくても、回転数をセンシングする手段を追加して、その補正データを矢の発射タイミングに反映させればよい。
また、矢の発射装置側に仕掛けがなくても、何らかの方法で矢が発射されたことを検出できれば、数字板の回転速度を調整して、目標の数字に命中させる事だって可能かも知れない。

まあ言いたかったことは、現在使われているような宝くじ当選番号を決める装置は、いくらでも細工ができるということである。
あんな装置を使うくらいなら、実際に人間がダーツを投げた方がまだマシだと思う。

ちなみに、私は宝くじは買わない人間である。
と言うより、買う気にならない人間である。