昨年のことだが、テレビで度肝を抜かれるマジックを見た。
内容はこうだ。
渋谷の街中を歩く1人のイケメンマジシャン。
地下鉄の出入り口にある大きなガラスの前で立ち止まる。
すると、ガラスを背に、彼を取り囲むようにたちまちの人だかりができた。
彼は、カード(トランプ)を取り出し、観客の一人にカードを抜いてもらい、そのカードの表にサインを書かせた後、カードを戻して良くシャッフルする。
さあ、もうあのサインしたカードはどこにあるかわからない。
すると彼は、後ろを振り返り、ガラスに向かってカードを飛ばす。飛ばすと言ってもカード全体を片手でしならせてカードの曲げの力を利用してガラスに吹き付けるという感じだ。
すべてのカードが手からなくなった時に、ふとガラスを見ると、なんとさっきサインしたカードがガラスに張り付いているではないか。
と、まあここまではよくあるマジックである。
しかし、驚くには、これからだ。
なんとあのサインしたカードが張り付いていたのは、ガラスの裏側だったのである。
カードがガラスを通り抜けたのだ!
まあ、マジックなのだから、どこかに仕掛けがあるはずだ。
さあ、謎解き開始!!
初めにことわっておくが、手品のネタばらしをする気は毛頭ない。
自分が、マジシャンだったら、「どうやってあの現象を起こすか」という立場で考えてみた。
ポイントは、どうやってサインしたカードをガラスの裏に運んだのかということ。
何度もビデオを再生して見たが、どうしても怪しい仕草は見当たらない。
ならば、発想を変えて、サインしたカードを複製したと考えたらどうだろうか?
簡単にいうと、観客にサインしてもらったあと、コピー機でサインしたカードと同じカードを複製したあと、スタッフがその複製したカードをガラスの裏まで運んだと考えるのだ。
しかし、コピー機なんて現場になかった。
でも、コピーできるのは、コピー機以外でも可能だ。
そう、テレビカメラだ!
確かにビデオを見ると「サインしたカードをカメラに良く見せて」と言って、カードが大写しになっている。
この瞬間にサインしたカードはデジタルの画像データとなって複製可能となるのだ。
撮影されたカードが多少斜めだったり、歪んでいてもソフト処理でなんとでもなる。
あとは、先ほどの画像データを無線LANなどを使って、少し離れた場所(直接、ガラスの裏側でもいい)にあるパソコンに転送する。
そして、カラー印刷。
複製のカードの完成だ。
このカラクリが正しいとすると今回のマジックはテレビ局側との連携プレーということになる。
ホンマかいな????