1.はじめに
「貴方の作った機体発見ブザーを付けていたおかげで、機体をロストしなくてすんだ」というお便りをたくさんいただきました。
こんな話をお聞きすると、設計者としてはうれしいかぎりです。
しかし、なかには、「猛スピードで墜落、その衝撃でコネクタが抜けてしまったようで、ブザーが鳴らなかった。」というご意見もいただきました。
そこで、コネクタが抜けたり、コネクタケーブルが切れたりしても、確実に動作する機体発見ブザーを作ることにしました。
コネクタが抜けても動作するということは、電池を内臓している機体発見ブザーということになります。
簡単に出来そうですが、このシステムを実現させようとするとちょっと問題があります。
コネクタが抜けるということと、電源スイッチを切ったということの区別がつきません。これでは、電源スイッチを切るたびにブザーが鳴り出してしまいます。
いろいろと考えた結果、
@.機体発見ブザー専用のスイッチを別に設ける。
A.電源スイッチから機体発見ブザーOFFの信号をもらう。
B.振動センサ(衝撃センサ)をつけて、墜落の衝撃を検知後、一定時間内ににコネクタが抜けたら強制的にブザーを鳴らす。
以上の3つのアイデアがでました。
@案は、使い勝手が悪そうです。
A案は、信号線が1本増えるのと、OFF側にも接点がある電源スイッチが必要です。
B案は、特に欠点もなく良さそうです。「たまたま衝撃がなく不時着したらブザーが鳴らないのでは」と思うかも知れませんが、その時は、コネクタも抜けていないと考えられ、通常操作でブザーを鳴らせるのではないでしょうか。
B案に決まりそうですが、小型で適当な振動センサが見つかりません。今後、手ごろな振動センサが見つかったら、B案のものを作るとして、とりあえずA案のものを製作してみることにしました。
電池内臓となるので、市販の防犯ブザーの改造が得策と判断しました。しかし、防犯ブザーの電池スペースは利用できませんから、回路をコンパクトに設計しなければならず、苦労しました。
この機体発見ブザーを使う場合は、3Pの電源スイッチが必要となりますので、ご注意ください。
2.仕様
●機能 : 電池内臓機体発見ブザー
●電源電圧 : 4〜5V
●OFF信号電圧 : 4〜15V
●消費電流 : スタンバイ時 0.3μA / ブザーオン時 50mA
●ケース外形 : 39*25*19(縦*横*高さ)
●重量 : 20.0g(電池、コネクタ含む)
●内臓電池 : LR44*3
3.回路図
4.部品表
部品番号 |
品番 |
メーカー |
備考 |
IC1 |
ATtiny45V |
Microchip Technology |
. |
D1 |
1SS352 |
東芝 |
. |
D2 |
1SS352 |
東芝 |
. |
Q1 |
RN1102 |
東芝 |
. |
Q2 |
RN1102 |
東芝 |
. |
Q3 |
2SK2009 |
東芝 |
. |
Q4 |
2SK2009 |
東芝 |
. |
R1 |
抵抗 1MΩ |
. |
. |
R2 |
抵抗 4.7MΩ |
. |
. |
C1 |
セラミックコンデンサ 0.1uF/25V |
. |
. |
C2 |
セラミックコンデンサ 0.68uF/16V |
. |
. |
SW1 |
タクトスイッチ |
. |
. |
ブザー |
MINI ALARM DX−A103 |
. |
防犯用ブザー |
5.マイコン プログラムのダウンロード
自作する場合は、マイコンにプログラムを書き込む必要があります。
圧縮形式ですので、下記ファイルをダウンロードした後、解凍してHEXファイルにしてからマイコンへの書き込みを行って下さい。
書き込みを行う際に、プログラムメモリの0x7FF番地のローバイトに8MHzOSCキャリブレーションデータを書き込んで下さい。
bz401.zip
設定
・FUSE extended byte (11111111B)
・FUSE high byte (01111111B)
・FUSE low byte (01100010B
SELFPGNEN:1
RSTDISBL:0
DWEN:1
SPIEN:1
WDTON:1
EESAVE:1
BODLEVEL2:1
BODLEVEL1:1
BODLEVEL0:1
CKDIV8:0
CKOUT:1
SUT1:1
SUT0:0
CKSEL3:0
CKSEL2:0
CKSEL1:1
CKSEL0:0
・LOCK bit (11111111B)
LB1:1
LB2:1
6.使い方
まず、ケース裏のネジを外し、ケースの蓋を開けます。
電池と電池の隙間に入れてあるフィルムを抜いて、内臓電池を通電させます。
このとき、ブザーが鳴り出した場合には、回路上にあるリセットスイッチを押してブザーをオフします。
ケースの蓋をネジで閉めます。
ブザーから出ている黄色の線(OFF信号線)をメイン電源のスイッチのOFF側接点に接続します。(下図参照)
電動プレーンなどで動力用電源と受信機用電源を共用していて、スピコンにスイッチがついている場合は、スピコンの2つあるスイッチ端子のうち、OFF時に電源電圧が来ている側をスイッチのCOMに接続して使います。(下図参照)
あとは、受信機の空きチャンネルにコネクタ接続すれば、配線は完了です。
送信機のスティックを操作して、パルス幅を1.7msec以上にするブザーが鳴ります。また、送信機からの信号が途絶えてもブザーが鳴ります。
メイン電源のスイッチをOFFしないで、コネクタを抜いたり、メインバッテリーを抜いたりしてもブザーが鳴り出します。
通常の使用状態では、BZ40の電源は、メインバッテリーから供給され、メインバッテリーからの供給が無くなった時にのみBZ40の内臓電池から電源が供給されます。
ブザーが鳴っているときに強制的に止めたいときは、コネクタを抜いてから、ケース裏の穴から細い棒などでリセットスイッチを押してください。(下図参照)
7.注意
回路の構成上、電源スイッチが3Pである必要があります。電源スイッチが2Pの場合や電源ON/OFFをバッテリーコネクタの抜き差しで行っている場合には使用できません。
ブザーを鳴らさなければ、消費電流は極めて少ないので、内臓電池は頻繁に交換する必要はありませんが、電池には時間的な寿命もありますので、最低でも2年に1度は電池交換をしてください。内蔵電池が機能しているかを確認したければ、電源スイッチをONのままBZ40のコネクタを抜いてみてください。ブザーが鳴ればOKです。
付属の内臓電池はテスト用ですので、寿命の保証はありません。