BZ30
1.概要
市販の防犯ブザーを改造して機体発見ブザーに改造するための回路です。
過去にもBZ10やBZ20を紹介しましたが、組み込みスペースが限られているため、どんな防犯ブザーも改造できるというわけにはいきませんでした。
最近の小型防犯ブザーの電源は、小型のボタン電池(LR44等)を3個使うものが多いようです。そこで、今回は、市販の防犯ブザーの限られたバッテリースペースに収納できるように回路を小型に設計しました。また、様々な使われ方を想定し、できるだけ多くのブザー鳴動条件を備えてみました。
2.仕様
・電源電圧 : 3.5〜6.0V
・バッテリー電圧低下検出電圧 : 4.0V
・外形 : 10*16*4 (縦*横*高さ)
・重量 : 0.6g
・適応防犯ブザー : 電源電圧4.5Vタイプ
3.回路図
4.部品表
. | 品名 | 品番 | 仕様 | メーカー |
IC1 | マイコン | ATtiny15L-1SC | . | Microchip Technology |
Q1 | 抵抗内臓トランジスタ | RN1102 | . | 東芝 |
Q2 | FET | 2SK2009 | . | 東芝 |
D1 | ダイオード | CRG01 | . | 東芝 |
C1 | チップセラミックコンデンサ | . | 0.47uF | . |
C2 | チップセラミックコンデンサ | . | 0.47uF | . |
R1 | チップ抵抗 | . | 10kΩ | . |
R2 | チップ抵抗 | . | 10kΩ | . |
R3 | チップ抵抗 | . | 10kΩ |
5.回路の説明
バッテリー電圧低下検出機能を備えた市販の防犯ブザーを機体発見ブザーに改造するための回路です。
ブザー鳴動条件は、下記の6条件で、どれか1つでも条件が成立すればブザーが鳴ります。ブザー音は、鳴動時間1秒、無音1秒を繰り返す断続音です。
受信機に空きチャンネルがない場合は、2又の分岐コネクタで、一方をサーボ、もう一方をBZ30に接続して下さい。
条件1
信号入力パルスが1.25msec以下になった時。
つまり、送信機のスティックを左右(又は上下)に倒す
これは、受信機に空きチャンネルがある場合に便利です。
また、この鳴動条件は、ジャンパー(JP1)をショートすると無効にすることができます。
もっとも一般的な使い方です。
条件2
信号入力パルスが1.15msec以下と1.85msec以上を素早く10回以上繰り返した時。
つまり、送信機のスティックを左右(又は上下)5往復させる。(左右に動かす時間は1秒以内)
この条件でブザーが鳴りだした場合は、電源を切るまでブザーは鳴り続けます。
これは、受信機に空きチャンネルがない場合に便利です。
また、この鳴動条件は、ジャンパー(JP2)をショートすると無効にすることができます。
条件3
信号入力パルスが1.32msec〜1.68msecの範囲にあり、且つ信号入力パルスに変化のない状態が3分以上続いた時。
つまり、送信機のスティックを中立付近にして暫くそのままにしておく。
これは、受信機に空きチャンネルがない場合に便利です。
また、この鳴動条件は、ジャンパー(JP3)をショートすると無効にすることができます。
条件4
信号入力パルスが無くなった時。
つまり、送信機のスイッチを切った時。
注意として、ノイズの多い環境では、機能しない場合もあります。また、条件2が成立してしまう可能性もあります。
条件5
電源投入から30分経過した時。
この条件でブザーが鳴りだした場合は、電源を切るまでブザーは鳴り続けます。
条件6
バッテリー電圧が4.0V以下になった時。
以上を表にまとめます。
分かりやすくするために、ラダーチャンネルに接続した場合について説明します。(スティックを倒す方向は、メーカーやプロポの設定により左右が反対になる場合あり)
ブザー鳴動条件 | 動作させる方法 | ブザー鳴動解除方法 | 無効にする方法 | 備考 |
条件1 | ラダーを左にいっぱいに切る | ラダーをニュートラルに戻す | ジャンパー(JP1)をショート | 空きチャンネルがある場合に便利 |
条件2 | ラダーを素早く左右に5往復以上させる | 鳴動解除不可 | ジャンパー(JP2)をショート | 空きチャンネルがない場合に便利 |
条件3 | ラダーをニュートラルにしたまま3分待つ | ラダースティックを操作する | ジャンパー(JP3)をショート | 空きチャンネルがない場合に便利 |
条件4 | 送信機の電源を切る | 送信機の電源を入れる | ー | . |
条件5 | 受信機の電源を入れて30分待つ | 鳴動解除不可 | ー | . |
条件6 | 受信機の電圧を4.0V以下にする | 受信機の電圧を4.0V以上にする | ー | . |
6.マイコンプログラム
自作する方は、マイコンにプログラムを書き込む必要があります。
下記ファイルをダウンロードして、解凍後にできるbz300.hexというファイルをマイコンに書き込んで下さい。
書き込みを行う際に、プログラムメモリの最終番地(0x1FF)のローバイトにOSCキャリブレーションデータを書き込んで下さい。
bz300.zip
設定
・FUSE bit (10101100B)
BODEN:0
BODLEVEL:1
CKSEL0:0
CKSEL1:0
RSTDISBL:0
SPIEN:1
・LOCK bit (11111111B)
LB1:1
LB2:1
7.配線
受信機に接続するためのコネクタとブザーユニットの電源線を図のように接続します。
ジャンパー(JP)をハンダでショートさせ、機能の一部を無効にすることができます。
写真では、JP3をショートしている。
8.改造例
8.1
今回、改造したのはMINI ALARM(DX−A103)です。
これは、秋葉原の秋月電子通商で購入しました。
8.2
なかなか小さくて、音も大きいです。
外形は実測で27*33*18(フックの凸部分除く)でした。
8.3
裏蓋のネジを外して中を見てみます。
8.4
電池を外します。
8.5
電池ホルダの端子を外します。
電線と端子はハンダ付けしてありましたので、ハンダゴテで端子を外します。
8.6
ケースと回路基板は、熱カシメされていましたので、マイナスドライバーでカシメ部分を削ったら回路基板は簡単にケースから外れました。
8.7
フックスイッチを取り外します。
フックスイッチは、写真の4ヶ所で基板とハンダ付けで固定されています。
ハンダ吸い取り器などを使ってフックスイッチを取り外します。
8.8
この防犯ブザーは、フックを引き抜くことで電源スイッチが入るようになっていましたので、スイッチ部分を電線でショートしておきます。
この処理を忘れるとブザーは鳴りませんので、お忘れなく。
8.9
防犯ブザーの電源とBZ30を接続します。
電線は、防犯ブザーに付いていた電線をそのまま利用しました。
8.10
BZ30を電池ホルダに収める。(ラクラク入りました)
基板は、接着剤で固定するとよいでしょう。
8.11
完成!
重量は12.3gでした。
9.注意事項
・改造可能な防犯ブザーは、電池電圧が4.5V(1.5V*3)タイプのものです。
・バッテリー電圧低下機能については、閾値が約4.0Vとなっています。回路上に電圧調整用のダイオードを挿入してありますので、バッテリー電圧が4.0Vになった時、防犯ブザーの電圧は約3.4Vの電圧になってしまいます。防犯ブザー回路によっては、電圧が低すぎて動作しない可能性もあります。
・防犯ブザーの改造は自己責任で行ってください。