BR10

バッテリー内部抵抗測定器                                             2019/02/12

 

 


1.はじめに
 RC模型の動力用として、リチウム・ポリマーバッテリー(リポ)やニッケル水素バッテリー(N-MH)などの充電可能なバッテリーがよく使われますが、
繰り返し使っているうちにパワーが落ちてきたり、飛行(走行)時間が短くなってくるのを経験した人も多いと思います。
 使い方にもよりますが、バッテリーは何度も充放電を繰り返していると徐々に劣化してきます。
 では、バッテリーの劣化度を調べるにはどうしたらよいでしょうか?
 バッテリーの電圧を測定しても、新しいバッテリーと劣化したバッテリーとでは特に電圧は変わりません。
 バッテリー容量を測定する装置があれば、劣化したバッテリーの容量減少が確認できるかもしれません。
 しかし、バッテリー残量がまだ十分あるにもかかわらず、飛行(走行)が出来なくなってしまうことがあるのです。
 このような現象は、実はバッテリーの内部抵抗の増加にその原因があります。
 バッテリーの内部抵抗が増加するとパワーが落ちるだけでなく、その内部抵抗による電圧降下の影響でバッテリーの端子電圧が低下し、
バッテリー電圧低下検出回路が働いて、モーターをオートカットするので、バッテリー容量が減ったように見えるという訳です。(下図参照)



 上の図で、仮に電圧源を10V、Riを0.1Ω、RLを10Ωとすると、バッテリーの端子電圧は約9.9Vとなり電圧降下はほとんどありませんが、
内部抵抗Riが1Ωになったとすると、バッテリーの端子電圧は約9.1Vと電圧降下は大きくなります。この電圧降下の傾向は、
大きな電流を流す(RLが小さい)ほどRiの影響が大きくなることがわかると思います。
 前置きはこれくらいにして、バッテリーの劣化具合を調べる道具として、バッテリーの内部抵抗を測定する装置を製作してみたわけです。
測定原理は、一瞬だけバッテリーに大きめに電流を流します。その時の電圧降下を測定して、その電圧降下の大きさからバッテリー内部抵抗を算出します。
内部抵抗は小さいほど元気なバッテリーということになります。
 表示には、LEDキャラクタディスプレイを使用しました。



2.機能
 ●バッテリー内部抵抗測定
 ●バッテリー電圧測定



3.仕様
 ●回路動作用の電源電圧 6〜12V(006P 9V電池を推奨)
 ●被測定バッテリー電圧 1.0〜12V
 ●被測定バッテリー内部抵抗 0〜2000mΩ程度(条件によっては5000mΩ程度まで表示)
 ●消費電流 36mA(電源電圧 9V時)
 ●外形 71*35*22(縦*横*高さ) 006P電池含まず



4.回路図




5.部品表
番号  部品名  品番(仕様)   メーカー  備考 
 IC1  三端子レギュレータ  TA48M05F  NEC  
 IC2  マイコン  ATtiny461A  MicroChip  
 IC3  IC  TC74HC4066  東芝  
 Q1  FET  2SK2159  ルネサス・エレクトロニクス  
 Q2  抵抗内蔵トランジスタ  RN1105  東芝  
 Q3  FET  2SJ207  ルネサス・エレクトロニクス  
 C1  セラミック・コンデンサ  0.1uF/25V    
 C2  タンタル・コンデンサ  47uF/10V    
 C3〜C6  セラミック・コンデンサ  0.1uF/25V    
 R1  チップ抵抗  10kΩ    
 R2  チップ抵抗  4.7kΩ    
 R3  チップ抵抗  10kΩ    
 R4  チップ抵抗  10kΩ    
 R5  チップ抵抗  10Ω/2W    
 VR1  半固定トリマー抵抗  10kΩ     
 F1  リセッタブル・ヒューズ  MF-NSMF035X  Bourns Inc  
 LCD1  LCDキャラクタ・ディスプレイ  ACM0802C-NLW-BBH  Xiamen Zettler Electronics  



6.マイコンプログラム
自作する場合は、マイコンにプログラムを書き込む必要があります。
下記ファイルをダウンロードしてマイコンへの書き込みを行って下さい。
(右クリックで ”対象をファイルに保存” を選択)

br100.hex

書き込み時の設定
・FUSE  0xFF 0xDE 0x62
・LOCK 0xFF



7.配線図

 9V電池を基板に両面テープで接着すると配線がスッキリします。





8.使い方
 制御回路に6V〜12Vの電源(006P電池推奨)を接続します。
(使い勝手を考え、被測定バッテリーを接続すると自動的に制御回路の電源が供給されるようにしてあるため、特に制御回路ON/OFFスイッチは不要です。)
あとは、被測定バッテリーを接続するだけでバッテリー電圧と内部抵抗値が表示されます。
必要に応じて、LCDのコントラスト調整を行ってください。(一度調整すれば、OKです)
1秒毎に測定を行いますので、測定結果表示も1秒毎に更新されます。



9.使用上の注意
・バッテリー内部抵抗の表示はmΩ(ミリオーム)単位となっています。
・被測定用バッテリーの内部抵抗が大き過ぎて測定出来ない場合は”OVER”の文字が表示されます。
 (”OVER"の表示になった場合、2Ω(2000mΩ)以上と考えられます。)
・被測定用バッテリーの電圧が1.0V以下の場合は、内部抵抗値が正しく表示されませんので、ご注意ください。
・内部抵抗測定中、被測定バッテリーには一瞬ではありますが、やや大きな電流が繰り返し流れますので、長時間接続したままにしないでください。
・被測定バッテリーを接続するときの電線は、なるべく太い電線で短く接続してください。
・表示される内部抵抗値は、バッテリーセル内部の抵抗(直列セルの場合は全セルの内部抵抗の合計)だけではなく、バッテリーに接続されている電線、
コネクタが付いていればコネクタの接触抵抗などを全て足し合わせた値を表示します。