BD11
バッテリー放電器
 

製作 2012/07/14



1.概要
 リチウム・ポリマー・バッテリー(以下リポと呼ぶ)は、自己放電が少ないという優れた特長があるのですが、満充電のまま保存するとバッテリーの劣化が進み、寿命が短くなるそうです。たいへん残念な特性です。
しかし、そんなことを言っていても仕方がないので、リポに長生きしてもらうために、バッテリー放電器を製作することにしました。
飛行予定の前日にリポを充電したけど、当日天候不良で飛ばせなかった時などに、このバッテリー放電器を使っています。
 急速放電ではなく、約1Wで定電力放電するようにしてありますので、放電完了まで時間はかかりますが、小容量のリポでも使用可能です。
 放電停止電圧は、基板上のボリュームで調整できますので、好みの放電深度に設定できます。勿論、他のバッテリーにも使用可能です。


2.機能
 ●バッテリー放電


3.仕様
 ●動作電圧 3.0〜15.0V (リポ1〜3セル)
 ●検知電圧 3.5〜15.0V (完成品はリポ2セル用の7.4Vに設定済み)
 ●動作電圧 3.0〜12.6V (リポ直列1〜3セル)
 ●放電電力 1W一定
 ●放電停止時消費電流 270μA(電源電圧 7.6V時)
 ●外形 18*60*12(縦*横*高さ)
 ●重量 8.3g


4.回路図



5.部品表
部品番号 品名 品番 仕様 メーカー 備考
IC1 3端子レギュレータ S-812C20 . SII .
IC2 マイコン ATtiny45V . Atmel .
Q4 FET 2SK2159 . 東芝 .
D1 ショットキー・ダイオード 1SS367 . 東芝 .
LED1 LED . . . Φ3、赤色
C1 チップセラミックコンデンサ . 0.68uF 25V . .
C2 チップセラミックコンデンサ . 47uF 6.3V . .
C3 チップセラミックコンデンサ . 0.1uF 25V . .
C4 チップセラミックコンデンサ . 0.1uF 25V . .
C5  チップセラミックコンデンサ . 0.1uF 25V
R1 チップ抵抗 . 150KΩ . .
R2 チップ抵抗 . 75kΩ . .
R3 チップ抵抗 . 2.2kΩ . .
R4 チップ抵抗 . 10Ω . .
R5 チップ抵抗 . 10kΩ . .
R6 セメント抵抗  4.7Ω、5W
PS1 ポリスイッチ RXE110 Tyco Electronics 
VR1 半固定可変抵抗器 . 10kΩ . .


6.マイコン プログラムのダウンロード
自作する方は、マイコンにプログラムを書き込む必要があります。
圧縮形式ですので、下記ファイルをダウンロードした後、解凍してHEXファイルにしてからマイコンへの書き込みを行って下さい。

BD112

設定
・FUSE extended byte (11111111B)
・FUSE high byte (01111110B)
・FUSE low byte (01100100B

SELFPGNEN:1

RSTDISBL:0
DWEN:1
SPIEN:1
WDTON:1
EESAVE:1
BODLEVEL2:1
BODLEVEL1:1
BODLEVEL0:0

CKDIV8:0
CKOUT:1
SUT1:1
SUT0:0
CKSEL3:0
CKSEL2:1
CKSEL1:0
CKSEL0:0


・LOCK bit (11111111B)

LB1:1
LB2:1


7.説明
下図のようにバッテリーを接続します。

 放電中は、基板上のLEDが点灯し、放電停止するとLEDは消灯します。
放電停止電圧の調整は、基板上にあるボリュームで調整できます。ボリュームを左に回せば放電停止電圧が下がり、右に回せば放電停止電圧が上がります。調整方法は、放電停止電圧調整用ボリュームを左いっぱいに回しておいて、バッテリーの代わりに放電停止電圧に調整した安定化電源を接続します。LEDの点灯を確認したら、ボリュームをゆっくりとLEDが消灯するまで右に回していきます。放電停止電圧は、リポの場合、1セル当たり3.7Vくらいがよろしいかと思います。(2セルなら7.4V)
 放電電流は、放電用のセメント抵抗を流れて、熱となって消費されます。この電流は、PWM制御され、バッテリー電圧に応じて変化します。具体的には、バッテリー電圧が低いときには、大きな電流が流れ、バッテリー電圧が高い時には、小さな電流しか流れません。放電するときの電力は、放電用のセメント抵抗を触っても焼けどしない程度の1Wに決めました。
 万一、制御系が故障してもセメント抵抗が異常発熱しないように、セメント抵抗とポリスイッチを直列接続し、この2つを固まるシリコンで接着してあります。


8.注意事項
・バッテリーを接続後、一旦外して再接続する場合は、パワーオンリセットを確実に行うために5秒以上待ってから再接続してください。
・本回路は、放電完了後、低消費電流モードに移行しますが、約270μAの電流が流れ続けます。長時間バッテリーを接続しっぱなしにすると過放電になる恐れがありますのでご注意ください。
・放電完了の設定電圧を低く設定しすぎると、過放電になってしまいますので、ご注意ください。