黄色の電線は、動力用バッテリー電圧検出用です。
1.概要
動力用バッテリーにリチウム・ポリマー・バッテリー(リポ)を使っている人も多いかと思いますが、このバッテリーは、過放電に弱いため、飛行中のバッテリー電圧が気になります。通常のスピコンには、バッテリー電圧の低下を検出して動力用のモータを停止させるオートカット機能がありますが、モーターグライダーなどは、動力用モータを停止させたまま長時間飛行することも多いので、知らず知らずのうちにバッテリーにダメージを与えているかも知れません。そこで、動力用バッテリー電圧を直接検知して、電圧低下をブザー音で知らせるものを作ってみました。勿論、機体発見ブザーとしての機能も持っています。
2.仕様
・外形 19*13*15(縦*横*高さ)
・重量 2.4g(電線、コネクタ除く)
・動作電圧 2.7〜5.5V
・バッテリー リポ 1〜3セル
3.回路図
4.部品表
品名 | 品番 | 仕様 | メーカー | |
IC1 | マイコン | ATtiny15L-1SC | Microchip Technology | |
Q1 | 抵抗内臓トランジスタ | RN1102 | 東芝 | |
Q2 | 抵抗内臓トランジスタ | RN1105 | 東芝 | |
C1 | セラミックコンデンサ | 1uF | ||
C2 | セラミックコンデンサ | 1uF | ||
R1 | 抵抗 | 22Ω | ||
R2 | 抵抗 | 10kΩ | ||
R3 | 抵抗 | 3.3kΩ | ||
BZ1 | ブザー | TMB-05 | スター精密 |
5.回路の説明
通常のスピコンには、受信機やサーボの電源を供給できるようにBECと呼ばれる電圧レギュレータ回路が内臓されています。(下図参照)
BECの出力電圧は、5Vのものが多いようですが、この出力電圧は安定化されているので、動力用バッテリーの電圧が多少低下しても
5V出力は変動しませんから、BEC電圧を検出してもしかたありません。そこで、動力用バッテリーの電圧検知用の端子”BAT+”を設けてバッテリー電圧の直接検知を行います。注意点として、動力用バッテリーと受信機、サーボ用バッテリーが別電源となっているシステムでは使用できません。スイッチング方式のBECでも使えますが、BECが絶縁型のスイッチングレギュレータの場合は、使えません。つまり、動力用バッテリーのGNDと受信機用バッテリーのGNDが共通になっているシステムにのみ使える訳です。
バッテリーは、リポ1セルから3セル用となっていますが、1セルで使うことは、ほとんどないと思います。ただ、ハンドランチグライダーなどでは、1セルもあるかも知れません。その場合は、+5VとBAT+を接続して使ってください。
アラーム検出電圧は、1〜3セルに対して、3.0V、6.0V、9.0Vとしました。セル数の判別は、電源投入時に自動判別され、認識したセル数に応じて、電源投入直後にブザーが1〜3回鳴るようにしました。
機体発見ブザー機能部は、受信機からの信号パルス巾が、1.25msec以下になるとブザーが鳴ります。また、パルス信号が途絶えた場合にもブザーが鳴ります。さらに、電源投入から40分経過した場合にもブザーが鳴り、この場合は、電源を切らない限り鳴り続けます。
ブザー音は、断続音ですが、アラームの発生原因により断続音周期を変えてあります。
尚、プリント基板は、AR52(ar50の改良版)の基板を流用しました。
6.マイコンプログラム
自作する方は、マイコンにプログラムを書き込む必要があります。
下記ファイルをダウンロードして、解凍後にできるar600.hexというファイルをマイコンに書き込んで下さい。
書き込みを行う際に、プログラムメモリの最終番地(0x1FF)のローバイトにOSCキャリブレーションデータを書き込んで下さい。
ar600.zip
設定
・FUSE bit (10001100B)
BODEN:0
BODLEVEL:1
CKSEL0:0
CKSEL1:0
RSTDISBL:0
SPEN:0
・LOCK bit (11111111B)
LB1:1
LB2:1
7.使い方
本回路を下図のように接続します。
S、+5V、GNDは、受信機の空きチャンネルに接続し、BAT+端子は動力用バッテリーのプラスに接続します。
電源投入時に、動力用バッテリーの初期電圧を計測し、リポのセル数の判定を行います。1セルの場合は1回、2セルの場合は2回、3セルの場合は3回ブザーが鳴って、判定されたセル数を通知します。もし、3セルなのに2回しかブザーが鳴らないような場合は、充電不足又はバッテリーの故障の可能性がありますので、バッテリーをチェックしてください。
ブザーが鳴る条件は、下記4ケースがあります。
1.1セル当たりの電圧が、3.0V以下になった。
2.受信機からのパルス信号巾が1.25msec以下になった。(送信機のスティック操作を行った)
3.受信機からのパルス信号入力が途絶えた。(送信機の電源を切った)
4.電源投入から40分が経過した。
上記1については、一時的な電圧低下があってブザーが鳴っても、後に電圧が回復すれば、ブザーは鳴り止みます。
2、3については、送信機側の操作によって、ブザーのON/OFFが可能です。
4については、ブザーが鳴り始めたら、電源を切らない限りブザーは鳴り止みません。
ブザー音は、断続音で、断続音周期は、 上記4ケースについて 1<2<3<4 となっています。