1.はじめに
記録映像等で零戦が離陸後に翼下左右の車輪が時間差で格納されるシーンを見たことがある人も多いかと思います。
これは、車輪を同時に格納しようとすると大きな力が必要なため、時間はかかっても最終的に2つの車輪を格納出来ればよいという発想から来ています。
こうすることで、引き込み脚用のアクチュエーターを軽量化出来た訳です。
実際の動作では、左右の車輪のどちらが先ということは決まってなく、負荷の軽い方から格納されたようです。
ラジコンの零戦スケール機では、引き込み脚の動作もこだわりたいところですが、動作させたいイメージも人それぞれ異なるようです。
市販品ではこのような用途向けに差動動作コントローラなるものもあるようですが、どのような複雑な動作も再現できる
零戦引き込み脚用制御回路を製作してみました。
勿論、引き込み脚以外にも使うことが出来ます。
2.機能
●零戦引き込み脚用駆動回路
3.仕様
●基板外形 : 24*22*11(縦*横*高さ))
●電源電圧 : 3~9V
●重量 : 2.6g
●消費電流 : 2.5mA(@5V)
4.回路図
5.部品表
部品番号 |
部品名 |
仕様 |
メーカー |
備考 |
IC1 |
三端子レギュレータ |
AP7375_33SA-7 |
DIODES INCORPORATED |
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IC2 |
マイコン |
ATtiny44A |
MicroChip Technorogy |
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IC3 |
EEPROM |
M95640-W |
ST Microelectronics |
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LED1 |
チップLED |
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赤色 |
Q1~Q5 |
抵抗内臓トランジスタ |
RN1102 |
東芝 |
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C1~C2 |
セラミックコンデンサ |
10uF/25V |
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C3~C4 |
セラミックコンデンサ |
0.1uF/25V |
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R1 |
抵抗 |
330ohm |
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R2~R3 |
抵抗 |
2.2kohm |
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SW1 |
タクトスイッチ |
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CN1~CN5 |
コネクタ |
ピンヘッダ |
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6.マイコンプログラム
自作する場合は、マイコンにプログラムを書き込む必要があります。
下記ファイルをダウンロードしてマイコンへの書き込みを行って下さい。
(右クリックで ”対象をファイルに保存” を選択)
ss204.hex
書き込み時の設定
・FUSE 0xFF(Extended_byte)、0x9E(High_byte)、 0x62(Low_byte)
・LOCK 0xFF
7.使い方
本回路は、まず右脚駆動用サーボと左脚駆動用サーボを手動で動作させ学習させる必要があります。
そうして学習した2つのサーボの動きを再現する回路です。
手動で右脚駆動用サーボと左脚駆動用サーボを駆動するための信号入力が必要となりますが、専用の信号発生回路を用意するのは大変なので、
ここでは一例として、エンコンチャンネル信号とエレベータチャンネル信号で左右サーボ信号を代用することにします。
受信機のエンコン信号、エレベータ信号、ギヤ信号を接続します。さらに右脚駆動用サーボと左脚駆動用サーボを接続します。
接続としては下図のようになります。
以下に引き込み脚サーボの動作を記憶させる方法を示します。
送信機のギヤスイッチに対応して2つの動作を記憶させます。
あくまでも一例ですが、ギヤアップは右脚、左脚の順、ギヤダウンは左右脚同時とします。
接続が完了しましたら、まずギヤアップの動作を覚えさせることにします。
①送信機の電源を入れます。
②SS20の基板上にあるスイッチを押しながら、受信機の電源を入れます。
③SS20の基板上にあるLEDが点滅を始めます。(LEDの点滅を確認したら、スイッチから手を離してください)
④送信機のギヤスイッチを
ギヤアップ側に倒します。
⑤送信機のエンコンスティックとエレベータスティックを操作して右脚駆動用サーボと左脚駆動用サーボを動かし、脚が降りている位置に移動します。(ギヤアップ シーケンス開始位置にする)
⑥SS20の基板上にあるスイッチを押す(押して離す)。(LEDが点滅から点灯に変わる。)
⑦(右脚を先に格納する場合)エンコンスティックをゆっくり動かして、右脚を格納位置まで移動します。
⑧次にエレベータスティックをゆっくり動かして、左脚を格納位置まで移動します。
⑨SS20の基板上にあるスイッチを押す。(押して離す)
⑩LEDが消灯する。
⑪受信機の電源をOFFする。
以上でギヤアップの動作を記憶しました。
続いてギヤダウンの動作を覚えさせます。
①送信機の電源を入れます。
②SS20の基板上にあるスイッチを押しながら、受信機の電源を入れます。
③SS20の基板上にあるLEDが点滅を始めます。(LEDの点滅を確認したら、スイッチから手を離してください)
④送信機のギヤスイッチを
ギヤダウン側に倒します。
⑤エンコンスティックとエレベータスティックを操作して右脚駆動用サーボと左脚駆動用サーボを動かし、左右の脚を格納位置に移動します。(ギヤダウン シーケンス開始位置にする)
⑥SS20の基板上にあるスイッチを押す(押して離す)。(LEDが点滅から点灯に変わる。)
⑦(左右の脚が同時に出る場合)送信機のエンコンスティックとエレベータスティックを同時に動かして、左右の脚が完全に出た状態まで移動します。
⑧SS20の基板上にあるスイッチを押す。(押して離す)
⑨LEDが消灯する。
⑩受信機の電源をOFFする。
以上でギヤダウンの動作を記憶しました。
上記の左右の脚の動作設定はあくまでも一例です。(どのような動きをさせても構いません)
上記の設定の場合、送信機のギヤスイッチをアップ側に倒せば、右脚、左脚の順に脚を格納し、ギヤスイッチをダウン側に倒せば、左右の脚が同時に脚が出てくることになります。
要はLEDが点滅の間は準備期間で記憶動作には関係なく、LEDが点灯している間、サーボの動きを記憶させます。、
記憶動作中のサーボの動きは、サーボの動作速度や間の取り方も含めて忠実に再現されます。
上記の作業は、1人では大変なので、2人で行った方が良いかも知れません。
また、動作の記憶は何度でもやり直すことが出来ます。
実際に飛行させる時には、上図のエンコンチャンネル、エレベータチャンネルの接続は不要で、ギヤチャンネルのみ接続します。
8.注意事項
8.1
引き込み脚サーボは普通のサーボを使ってください。引き込み脚専用の特殊サーボは使えないかもしれません。
8.2
ギヤアップ、ギヤダウンシーケンス動作時間は、計算上各30秒ですが、余裕を持って20秒以内にしてください。