1.はじめに
最近は、航空法の改正や飛行場所の問題で、全備重量10グラム前後のRC機を飛ばして楽しんでいますが、
このクラスの機体だと操舵にサーボを使うと重すぎるので、マグネットアクチュエータ等がよく使われます。
ところが、(特にエルロンですが)舵面を大きくするとマグネットアクチュエータではトルク不足で駆動出来なくなってしまいます。
サーボほどのトルクは必要ないが、軽くてマグネットアクチュエータより力がある操舵方法はないものかと考えた末、
以前より興味があった形状記憶合金(SMA)アクチュエータを使ってみることにしました。
2.動作説明
形状記憶合金ワイヤー(以降SMAと呼ぶことにする)は、加熱すると収縮する細いワイヤーで、通常は通電することで加熱します。
加熱することで4%ほど収縮しますが、この収縮は温度を高くしていくと徐々に収縮するわけではなく、ある温度に達すると急に収縮が始まります。
フィードバック制御すれば、中途半端な収縮も可能ですが、制御が複雑になるので、今回は段階的に収縮させる方法を試してみることにしました。
動作イメージを下図に示します。
動作例として、ラダーの動作で説明します。
2本のSMAでラダーホーンの左右を引っ張る両引き構造になっています。
SMAのホーンの反対側は、コモン接続され、バイアスバネを使ってテンションをかけて使います。
まず、すべてのSWがすべてOFFの場合、SMAには通電されませんので、SMAは弛緩しており、この状態がニュートラルになります。
次にラダーを左に小さく切る場合は、SW5のみをONします。
すると左側のSMAの一部のみが収縮します。一部の収縮なので、小さな舵角になります。
ラダーを右に大きく切る場合は、SW10をONします。
すると、右側のSMA全体が収縮するので、大きく舵を切ることが出来ます。
左右のSMAのどの部分を通電するかで、舵角をある程度細かく段階的に制御出来ます。
今回の構成では、ニュートラル含めでフルストロークが11段階の分解能となります。
2本のSMAを使った両引き構造としましたが、SMA1本の片引きも可能です。
ただ、片引き構造の場合、ニュートラル時でもSMAの半分を通電することになるので、消費電力が大きくなるのと、動作角が小さくなるのが欠点です。
実際の動きですが、サーボモーターの動きとは異なり、多少もっさりした生き物的な動きをします。
特にSNAが弛緩するときは放熱に時間がかかるため動作はやや遅くなります。
ただ、飛行機に応用した場合は、強制空冷となり飛行中応答速度は多少改善されます。
各SWはMOSFETを使った半導体スイッチで、単純にONしてしまうと過電流でSMAが焼けてしまうので、ONする場所に応じてPWM制御でオンデューティを変えています。
3.機能
●RC用アクチュエータ
4.仕様
●基板外形 : 15*14*4(縦*横*高さ))
●電源電圧 : 3V~4.2V
●重量 : 0.4g(SMAワイヤー含む)
●電源電圧 : 3.0V~4.2V
●推力 : 10~20gf
5.回路図
6.部品表
部品番号 |
部品名 |
仕様 |
メーカー |
備考 |
IC1 |
マイコン |
ATtiny44A |
Micrchip technology |
|
Q1 |
抵抗内臓トランジスタ |
RN1102 |
東芝 |
|
Q2~Q11 |
MOSFET |
2SK3664 |
Renesas Electronics |
|
C1 |
セラミックコンデンサ |
0.1uF/25V |
|
|
SMA |
形状記憶合金ワイヤー |
BMF50 |
トキ・コーポレーション |
長さ70mm*2本 |
7.マイコンプログラム
自作する場合は、マイコンにプログラムを書き込む必要があります。
下記ファイルをダウンロードしてマイコンへの書き込みを行って下さい。
(右クリックで ”対象をファイルに保存” を選択)
sma100.hex
書き込み時の設定
・FUSE 0xFF 0x9E 0x62
・LOCK 0xFF
8.注意
SMAワイヤーは、BFM50に最適化してあります。長さは片側70mmで、SW接点は4個所なので14mm間隔となります。
BFM50以外のものを使うと過電流でワイヤーが焼けてしまう可能性があります。
9.動画
https://youtu.be/Bg1_WixzQDY