MP10

モーターパワー制御回路                                                    2023/10/16






1.はじめに
 かなり古いものですが、私は写真のようなハンディクリーナーを1台所有しております。


このハンディクリーナーは、単一電池4本(6V)仕様となっていますが、貧乏性の私にとって、使い捨ての乾電池式なのが許せません。
そこで、手持ちのリチウム・イオンバッテリーによる充電式に改造することにしました。
しかし、電圧の関係で単純にリチウム・イオンバッテリーに変更することは出来ません。
リチウム・イオンバッテリーは1セル当たり3.7Vなので、1セルだと電圧が低すぎてパワーが出ません。
かと言って、2セル直列にすると7.4V(充電直後は8.4V)となり、過電圧でモーターが焼けそうになります。
解決方法はいくつか考えられます。

その1

リチウム・イオンバッテリーを2セル直列の7.4Vとし、バッテリーとモーターの間に抵抗を直列接続してパワーを落とす方法。
この方法は、モーターの負荷によって、モーターにかかる電圧が変動してしまう問題があります。
具体的には、モーターの負荷が大きい場合は、モーターにかかる電圧が小さくなりモーターのパワーが弱くなります。
逆にモーターの負荷が小さい場合は、モーターにかかる電圧が大きくなるため、モーターの回転が上がり過ぎてしまいます。
また、大きな電流が抵抗に流れるため、抵抗の発熱も馬鹿になりませんし、抵抗が発熱するということは、エネルギーを無駄遣いしていることにもなります。

その2

その1の抵抗の代わりにダイオードを使う方法。
ダイオードには、定電圧特性があるので、モーターの負荷による電圧変動の影響は小さくなります。
ただ、ダイオードの発熱とエネルギーの無駄遣いの問題は残ります。

その3

DCDCコンバーターを使う方法。
昇圧又は降圧のDCDCコンバータを使って、6V出力の電圧に変換してからモーターに供給する方法で、普通に考えるとこの方法になりそうです。
比較的に大きな電流を扱うことななるので、現実的にはにリチウム・イオンバッテリーを2セル直列の7.4Vを6Vに降圧することになるかと思います。
この方法はうまくいきそうですが、大きな電流出力のDCDCコンバーターが必要で、回路自体がそこそこ大きくなり、DCDCコンバーターの価格も問題になります。

今回ご紹介する回路は、DCDCコンバーターを使うことなく、モーターをPWM制御によってモーターパワーを制御しようというものです。(パワーを上げることは出来ません)
モーター以外にも白熱電球、ヒーターにも使うことが出来ます。
モーターはブラシ付きDCモーター専用で、ブラシレスモーターには使用出来ません。



2.機能
 ●ブラシ付きDCモーターのパワー制御



3.仕様
 ●基板外形 : 35*24*8(縦*横*高さ))
 ●電源電圧 : 5V~16V 
 ●負荷電流 : 10Amax



4.回路図




5.部品表
部品番号  部品名  仕様  メーカー  備考 
 IC1  三端子レギュレータ  AP7375-50SA  Diodes Incorporated  
 IC2  6回路入りインバータ  TC74HCU04  東芝  他メーカ品でも可、HCUタイプ
 Q1  Nch MOSFET  TPH2R003PL  東芝  
 D1~D2  ダイオード  1SS352  東芝  シリコンダイオードならなんでも可
 D3  ショットキー・バリア・ダイオード  SK54  Panjit international INC  
 C1  セラミックコンデンサ  10uF/25V    
 C2  セラミックコンデンサ  10uF/16V    
 C3  セラミックコンデンサ  0.1uF/50V    
 C4  フィルムコンデンサ  0.001uF/16V    温度補償セラミックコンデンサでも可
 C5  セラミックコンデンサ  0.1uF/50V    
 R1  抵抗  100kohm    
 VR1  トリマ抵抗  100kohm



6.接続
 接続は下図参照




7.注意
 ESCなどのモーター制御回路との併用はできませんのでご注意ください。